現在、多くの施設(スーパーマーケット・フィットネスジム・コンビニ等)で、手指消毒用の薬剤が置かれています。そして、今回のターゲットはウイルスです。それなのに目的に合致していない薬剤が置かれているのを多く目にします。そもそも、Virus(ウイルス)は細菌やカビ・酵母(真菌)とは全く別の生物(*後述します)です。それを、「除菌・除菌」と叫んでいる広告を目にすると、便乗商法だと感じてしまいます。
そもそもウイルスは、専門家ですら生物か非生物かどうかで論争しており、結論がでていません。ウイルスは、生物の三要件(1・自己複製能力を持つ(子孫を残す)/2・自己でエネルギーを産生できる(代謝を行う)/3・外界との明快な境界がある(外界と膜で区切られている)を満たしていません。満たしているのは、3だけで2は明確に否定できます。1について、自己複製は可能ですが、他の細胞に入り込む(いわゆる感染する)ことでしか自己複製することはできません。
また、ウイルスの本体は遺伝子です。よって、その本体がDNA(二本鎖)かRNA(一本鎖)かで区別することができます。そして、その本体を外殻(カプシド)が覆っています。さらにその外側に被膜(エンベロープ)を持つものがいます。被膜を持つウイルスを「エンベロープウイルス」持たないウイルスを「ノンエンベロープウイルス」といいます。
最も一般的に使用される消毒用薬剤としては、「アルコール」でしょう。しかし、「アルコール」でウイルスを不活化するのであれば、70~95%濃度の「アルコール濃度」が」必要となります。しかも、上述した「ノンエンベロープウイルス」には「アルコール」は効果がありません。次に、「次亜塩素酸ナトリウム」です。一般的には「塩素系漂白剤」として市販されているものです。この「次亜塩素酸ナトリウム」でウイルス消毒するのであれば、0.5~1%の濃度(最低でも500ppm以上)が推奨されています。注意が必要なのは、「次亜塩素水」です。これは食品添加物としても認可されている安全性の高い薬剤です。ウイルス消毒するのであれば、100ppm以上が推奨されていますが、紫外線に弱く使用期限も短いので使用には注意が必要です。
安価な消毒薬には、明確な濃度が記載されていないものもあります。可能であれば、しっかりと有効成分名と濃度が記載されている物を選んでください。