先日、アメリカでも最先端に近い企業の、日本における人事担当者と話す機会がありました。現在、4ケタ近い人数いる社員全員がリモートワーク可能となっており、オフィスには必要がない限り出勤しなくてもよいそうです。さすが、進んでますね。
一方日本国内では、多くの企業は業績悪化に悩んでおり、経費の削減を遂行しています。少し前にも書きましたが、「リモートワーク」導入で「通勤手当」を廃止して「実費支給(上限あり)」にしたり、「社員食堂」を廃止して「食事手当(出勤日のみ)」にしたり、「オフィス縮小」、「ボーナスカット」、などあらゆる策を取っています。
当然ですが、一番のコストは「人件費」です。正社員を多く抱える部署は、「リモートワーク」で自主性に任せて、結果で評価することが可能になりますが、非正規雇用社員を多く抱える部署では、自主性に任せて「リモートワーク」させるわけにもいかないので、業務指示や管理監督の必要性が出てきます。そこで、この「必要性」が重要なポイントとなります。ここで部署による「リモートワーク」可能かどうかの差が生まれてしまいます。だからといって、正社員数を増やすと「人件費」が増加するので、「二律背反」といった悩ましい事になります。
「営業部」などは、もともと「リモートワーク」みたいな部署です。対して、「経理部」「人事部」「総務部」や「業務部」「物流部」「カスタマーサポート部」、などは物理的には「リモートワーク」可能ですが、非正規雇用スタッフが多く働いている部署でもありますので、必ず業務指示や管理監督のために社員が出勤する必要があります。しかも、部署によっては24時間交代です。「リモートワーク」のために、webカメラを複数台設置して、自宅からスタッフの勤務状況などを管理監督をできるようなシステムを導入している企業もあります。しかし責任者は、「最終的に何かしらのトラブルが発生した時の事を考えれば、出社していた方が気が休まる」といった結論になるそうです。
私がよく知っていた海外での企業(主にアジアになります)では、派遣や契約、出向、アルバイト、などはあまりおらず、ほぼ全て「請負契約」でした。これは、世界各国で問題になっている「〇ber Eats」問題とも関連してきます。つまり、「企業」と「個人」が対等に「業務委託契約」を結んでおり、何か問題が発生した場合には契約に基づいて「個人」側が全て対応するといったものです。私も、以前「請負契約」で働いていた時期がありましたので分かりますが、企業側は、福利厚生や雇用保険などの付帯費用が一切発生しないので高額の給与を「契約者」に支払うことができます。一方で「契約者」は高額の給与を受け取ることはできますが、企業側や公的な補償を受ける事ができません。
例えば、ガス屋さんの「カスタマーサポート部」で「請負契約」で働いていたAさんが修理に失敗して、お風呂を壊してしまいました。修理費用の90万円と、それまでに宿泊するホテル1泊1万円×10日間で10万円の、合計100万円が発生してしまいました。そうすると、その料金は、Aさんが支払わなければいけなくなるのです。(契約内容にもよりますし、多くは個人で保険にはいっています)
日本などの先進国では、ガス屋さんの「ブランドイメージ」などを最優先しますので、そんなトラブルになることは避けます。一方アジア諸国では、企業が金銭支払いの方を嫌がり、「請負契約」に基づいて、Aさんに支払い義務が発生することが多いのが実情でした。なので、「起業のブランド価値」よりも「個人の技量」にまだまだ信頼が置かれるケースが多かったです。
この話は長くなるので、次回に続きます。