毎年話題になります「Ig Novel Prize(イグノーベル賞)」ですが、今年はオンライン参加のみにて9月17日に開催されました。本物の「ノーベル賞」も今年はオンライン中継のみになるそうで、こちらも「イグノーベル賞」が先行しています。
そもそも、「イグノーベル賞」とは、名前からも分かるように「ノーベル賞」のパロディです。形容詞の「ignoble(恥知らずの、不名誉の)」と、否定の意味の接頭語としての「Ig」による「ダブルミーニング」で名付けられたとされています。無理やり日本語訳すると「裏ノーベル賞」とでもなるのでしょう。
1991年に、アメリカの科学ユーモア雑誌「Annals of Improbable Research」の編集者である「Marc Abrahams」によって創設された、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して与えられる賞です。国民性が出るようで、この賞に対して価値を認めている国は、イギリスと日本くらいとされています。
賞金は、何度もハイパーインフレーションによって通貨切り下げを行った10兆ジンバブエドル(現在は既に通貨として流通しておらず、お土産としてしか流通していません)と「賞状」と「副賞(その年で異なる)」のみです。授賞式に際しての交通費すら支給されないそうで、自腹での支払いになるそうです。受賞者が最も喜ぶのは、数多くの本物の「ノーベル賞受賞者」が列席するそうで、「賞状」にサインしてくれることだそうです。
大きな話題は、「日本人の研究者が13年連続で受賞しているので、14年連続は達成できるのかどうか?」ということでした。それについては、京都大学霊長類研究所の西村剛准教授が受賞しました。オーストリア・ウィーン大学のStephan Reber大学院生(現在は、スウェーデン・ルンド大学博士研究員)とW. Tecumseh Fitch教授(オーストリア・ウィーン大学)が中心となって、セントオーガスティンアリゲーターファームのMark Robertson氏と西村准教授も参加した国際共同研究です。ヨウスコウワニにヘリウムガスを吸わせたところ、私たちヒトと同じように声が変化しました。その音声データの解析により、ワニも、ヒトやトリなどと同じように共鳴を用いて声をつくること、つまり声帯を用いて発声していることを明らかにしました。詳細は公式サイトを参照ください。